ゼインアーツ ヤール2(YAR-2)徹底レビュー|土砂降りの上高地で判明した耐候性の限界と真価

ゼインアーツから登場した待望の山岳テント「ヤール2(YAR-2)」。その圧倒的な軽さと美しさに惹かれ、導入を決めた方も多いのではないでしょうか。

私もその一人ですが、今回、北アルプスの玄関口・上高地にある「小梨平キャンプ場」にて、このテントの真価を問われる過酷な状況に遭遇しました。2025年7月、降り続く土砂降りのなかで1泊2日を過ごして見えてきた、スペック表だけでは分からない「リアルな耐候性」を徹底レビューします。

ゼインアーツ ヤール2の基本スペック確認

まず、ヤール2がどのようなテントなのか、その特徴を簡単におさらいします。

  • 最大の特徴: 2人用で最小重量950gという軽量性と税込39,800円という信じられないお値打ち価格!
  • 構造: 設営簡便性、耐風性、居住性、携行性のバランスに優れたベーシックなクロスフレーム構造を採用
  • フライシート:15Dナイロンリップストップ・シリコーン & PU加工(耐水圧1,500mm)
  • インナーテント・ウォール : 7Dナイロンリップストップ
  • インナーテント・ボトム : 20Dナイロンリップストップ・シリコーン& PU加工(耐水圧1,500mm)
  • フレーム:A7001・DACフェザーライトNFL・φ8.7mm

山岳テントとしての機動力は申し分ありません。しかし、軽量化のために削ぎ落とされた部分が、荒天時にどう影響するのかが今回の焦点です。

【検証】土砂降りの上高地。ヤール2の撥水・防水性能

小梨平キャンプ場に到着した初日の夜から、雨脚が強まりました。時には地面を叩きつけるような土砂降りとなりましたが、まずは「浸水」という面での検証結果をお伝えします。

生地自体の防水性は合格点

15Dの薄いシリコーンポリエステル生地ですが、フライシートの撥水性能は非常に高く、水玉がコロコロと転がり落ちていく様子が確認できました。長時間の降雨でも、生地から直接雨が染み出してくることはなく、ゼインアーツの品質の高さを実感しました。

ボトム(床面)の安心感

最も懸念していたのが、地面からの浸水です。小梨平の地面は比較的水はけが良いものの、今回の豪雨では各所に水たまりができました。しかし、ヤール2のバスタブ状のボトムは、下からの水の侵入をしっかりと防いでくれました。

正直、ここは弱かった。実戦で分かった3つのデメリット

一方で、動画でも詳しく触れている通り、「ここは改善の余地がある」と感じたポイントが3つあります。

1. ベンチレーションと結露のジレンマ

ヤール2は軽量化のため、ベンチレーションの構造がシンプルです。雨天時に全てのファスナーを閉め切ると、テント内の湿度は一気に上昇します。ダブルウォール構造ではありますが、フライシート内側の結露が激しく、風や雨の振動でインナーテントへ滴り落ちてくる場面がありました。

2. 【致命的】フライからの跳ね返りによるインナーの濡れ

今回の土砂降りで最も想定外だったのが、**フライシートを伝って落ちた雨の「跳ね返り」**です。ヤール2は軽量化を優先した設計のためか、地面とフライの隙間から入り込む雨の跳ね返りが激しく、それが直接インナーテントの高い部分まで濡れてしまいました。

特に前室部分は跳ね返りがひどく、置いていた靴がしっとりと濡れるほど。ただ雨を凌ぐだけでなく、「地面からの跳ね返り」をどう防ぐかが、このテントを荒天で使う際の最大の課題だと感じました。

3. バスタブ内への浸水と「ヤール2」の限界

さらに深刻だったのは、その跳ね返った水が蓄積し、最終的にバスタブ(フロアの立ち上がり)内に浸水を許してしまったことです。

通常の雨なら問題ないはずですが、上高地の土砂降りのような条件下では、フライの裾から入り込んだ飛沫がインナーを伝い、バスタブの中に水が溜まっていく現象が確認できました。山岳テントとしての「防水性」は生地単体では高いものの、この「構造上の跳ね返り対策」という点では、過信は禁物。正直、ここまで激しい雨を想定した設計ではないのかもしれない、という限界を身をもって体感しました。


結論:ヤール2は「買い」なのか?

今回の検証を経て出した結論は、**「ヤール2は、ゼインアーツらしい合理的な設計思想が詰まった、山岳テントの新しいスタンダードになり得る一張り」**だということです。

個人的にゼインアーツというブランドが大好きで導入しましたが、実際に使ってみて感じたのは、その「バランスの妙」です。 正直なところ、山岳テントとしての基本性能は「可もなく不可もなく」という堅実な作り。しかし、それをこの**「圧倒的な低価格」と「自立式ドームとしての高いユーザビリティ」**でパッケージングした点に、ゼインアーツの凄みを感じます。

いまだに入荷即完売が続く人気も、この「手の届きやすさと実力」のバランスを考えれば、深く納得できる結果です。

向いている人

  • ゼインアーツの造形美と合理性が好きな人: 設営のしやすさやスッキリとした佇まいは、所有する喜びを満たしてくれます。
  • コストを抑えつつ本格的な山登りを始めたい人: 高価な山岳テントが多い中、この価格でこのスペックが手に入るのは、多くの人にとって山への門戸を広げることになります。
  • 天候に合わせた工夫を楽しめる人: 構造上の「クセ」を理解し、雨天時のケアを含めて道具と向き合えるなら、最高の相棒になります。

向いていない人

  • 「最高峰の耐候性」を絶対条件にする人: 今回の土砂降りのような極限状態において、一切の浸水や跳ね返りを許さないほどの完璧な防御力を求めるなら、倍以上の予算を組んで老舗のハイエンドモデルを選ぶのが無難です。
  • 道具に全幅の信頼を預けたい初心者の方: どんな状況でもテント任せで安心したいというよりは、自分のスキルで環境をカバーする楽しさを求める人向けの一張りと言えます。

まとめ

ゼインアーツのヤール2は、山岳テントの敷居をグッと下げてくれた「救世主」のような存在です。 今回の上高地での検証で見えた「跳ね返り」といった課題も、このテントの持つ軽さ、設営の楽さ、そして何よりこの価格を考えれば、十分に許容できる「個性」の範囲内。

むしろ、こうした特性を知った上で使いこなすことに、このテントと過ごす山の醍醐味があるのではないでしょうか。大好きで選んだ一張りだからこそ、これからもこの「クセ」と付き合いながら、多くのフィールドを共に歩んでいきたい。そう思わせてくれる、非常にゼインアーツらしい納得の一張りでした。

より詳細な雨の様子や、実際に浸水しそうになった瞬間の映像は、ぜひ私のYouTube動画でご確認ください。

▼YouTube:正直ここは弱かった…土砂降りの上高地で分かったヤール2の耐候性 

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